先週、会期ぎりぎりで東京国立博物館まで「国宝 阿修羅展」を行ってきた。チケットはずいぶん前に用意していたが、なかなかスケジュールが合わずにぎりぎりになる。
小雨のなか列に並ぶと「待ち時間80分」と看板が出ていてさっそく嫌になる。実際はそれほど待つことなく入場できたが、それまでにかなり消耗する。この入場するまでの行列には既視感があったが、前年の「国宝 薬師寺展」と同じ光景だった。まったく改善されていない。それでも集客できるのだから大したものだ。
最大の見どころは、やはり八部衆のうちの1体である三面六臂の阿修羅立像である<写真>。一部屋割り当てられていたが、すごい混雑だった。ガラスケースなしで360度ぐるっと回れるようになっていた。きっと1日中張り付いている人もいるのだろう。SPEEDの新垣仁絵が「阿修羅はスターなんです」と語っていたが、そのとおりだと思った。
阿修羅ではインド神話では戦闘神だが、激しさがまったく見られずに静かな顔立ちである。自分の内面を見つめるとする説もあるが、どうなのだろうか。不思議な魅力がある。
阿修羅像は興福寺で見たことがあるが、これほど近くでみられるのは貴重。東京に展示されるのは、ほぼ半世紀ぶりとのことなので、次の機会には見られるかどうか。長蛇の列に並んだ価値はあった。
今回の「阿修羅展」は、「モナ・リザ展」「ツタンカーメン展」に次ぐ、80万人を超える動員を記録したそうだ。奈良では興福寺中金堂再建計画が進行しているとのことだが、今回、相当建築費を稼げただろう。