新文芸坐の「高倉健特集」で「網走番外地」(1965年, 石井輝男)を観る。東映の人気シリーズの第1作。白黒映画。
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貧農出身のヤクザ・高倉健が網走刑務所に送られてくる。雑居房の牢名主のような態度をとる安部徹と対立する。そんななか、妹からの手紙で郷里の母の病が重篤で刑期終了まで、もつかわからないことを知る。そして雑居房では脱走計画が持ち上がり、高倉の意思とは関係なく、酷寒のなかを囚人のひとりと手錠でつながれて脱走することになる。
見どころは多いが、面白いのは保護司の丹波哲郎が、トロッコで脱走囚を追跡するシーン。「止まらないと撃つぞ」といいながら、銃を高倉に向けて水平射撃で連射する。保護司がそれでいいのか…。
また前半の刑務所のなかでの受刑者たちの生活もおもしろい。屋外作業でシケモクをおいしそうに最後まで吸うシーンは名シーン。また健さんの裸踊りも貴重であろう。その後、寡黙な役が多くなったこともありインパクト大。安部徹、田中邦衛らの個性豊かな受刑者たちにも注目。そして、なにより嵐寛寿郎! 老いたとはいえ貫禄がまるで違う。
石井輝男といえば、カルト映画の監督として知られているが、本作のような娯楽作品も残していたことを確認できる点で貴重な映画といえる。