退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

八犬伝の世界@千葉市美術館


千葉市美術館で開催中の「八犬伝の世界」という展覧会に行ってきた。「市民の日」とかで市民でないけど入場無料で閲覧できた。

曲亭馬琴による『南総里見八犬伝』は日本最大の長編伝奇小説として広く知られており、歌舞伎の題材としても取り上げられ、関連する浮世絵が多数制作された。こうした八犬伝浮世絵コレクションを中心に、多彩な資料・絵画を展示されていた。

展示を多くは浮世絵で、とくに歌川国貞らの錦絵の揃物がずらりと並んでいるのは、なかなか壮観であった。面白かったのは、当時人気を博していた八犬伝をネタに制作されたパロディもので、八犬士に七福神を重ねた作品などがあった。こういうのは、いまのコミック文化とあまり変わらないような…。

そのあと「八犬伝、現代に生きる」というコーナーに行くと、NHKの人形劇『新八犬伝』で使われたという犬塚信乃の人形がガラスケースに収められて展示されていた。端正で美しい。動いているのを実際に見てみたいものだ。その他には、スーパー歌舞伎宝塚歌劇サクラ大戦のポスターがあった。また碧也ぴんくのコミック『八犬伝』の原画も目を惹いた。この展覧会では、現代に生きる八犬伝にもっと重点をおいて欲しかったという気がした。

八犬伝に詳しいともっと楽しめたと思うが、そうでない人も新たな発見があるだろう。個人的には、八犬伝というとやはりNHK『新八犬伝』であり、当時楽しみに観ていたのを思い出す。再放送してほしいとも思うが、当時のようにわくわくできるかどうか不安でもある。やはり子ども向けだったのではないかという思いもある。そもそも残念ながら映像自体の多くが失われたという話を聞いたことがあるが…。