退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『津軽じょんがら節』(1973) / 江波杏子が新境地を見出しブレイクした作品

新文芸坐の《魅惑のクールビューティ 追悼 江波杏子》で映画『津軽じょんがら節』(1973年、監督: 斎藤耕一)を鑑賞。斎藤耕一の代表作。併映は『再会』(1975年)だったので、当日は斎藤耕一監督作品の二本立て。

津軽じょんがら節 [DVD]

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津軽の海沿いの寂れた寒村にイサ子(江波杏子)が、愛人の若いやくざ者・徹男(織田あきら)を連れて戻ってくる。この村は新宿のバーで働いていたイサ子の郷里で、男は敵対する暴力団の幹部を刺して逃亡中の身の上だ。海辺の小屋で二人の生活が始まる。東京生まれの徹男は最初退屈な田舎暮らしに苛つくが、地元の盲目の少女ユキ(中川三穂子)や若者たちの交流を通して自分の居場所を見つけていく。その一方、イサ子は郷里の津軽にどうしても馴染めない。次第に二人の仲にも変化が生じていく……。


「津軽じょんがら節」予告編

津軽の鈍重な風景に、都会を象徴するような赤いコート姿で佇む江波杏子が印象的。津軽の仄暗く重々しい空気を見事に捉えている映像はさすがというべきか。荒涼とした風景に鳴り響く津軽三味線やときおり挿入される斉藤真一の瞽女の絵も効果的。

この映画は地方論として見ることもできる。男女ふたりを都会と地方に重ねてみるのも一興。高度成長に取り残された地方の暗部を容赦なく描いている。まあ東京で生まれ育った徹男が、津軽の土着的な人間や風俗に触れて人間性を取り戻すというのは分かりやすいが、どこか都会派の監督の上から目線を感じてしまうのは私だけだろうか。

徹男が組織から報復されて殺害されるラストは予想通りではあるが、プロットがしっかりしていて最後まで惹きつけられた。

一度見たら忘れられない印象深い映画のひとつである。圧倒的な映像美を大きなスクリーンで見たい映画である。

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