退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『ど根性物語 銭の踊り』(1964) / 市川崑監督によるスタイリッシュな変態映画

シネマヴェーラ渋谷の《映画は大映、ヴェーラも大映》で映画『ど根性物語 銭の踊り』(1963年、監督:市川崑)を鑑賞。主演は勝新太郎

ど根性物語 銭の踊り [DVD]

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タクシー運転手の八百(勝新太郎)は、ひき逃げダンプを目撃すれば追いかけて犯人を捕まえる正義漢。この腕っぷしの強さを見込まれて、殺し屋グループ(浜村純、ロイ・ジェームス船越英二)にスカウトされる。彼らは社会正義を振りかざし悪人たちを暗殺する暗殺団だった。高給で雇われた八百は、殺人に加担するが正義感が昂じて逆に暗殺団から命を狙われることに……。

いま見ているのが夢なら止めろ、止めて写真に撮れ。 小西康陽責任編集・大映映画スチール写真集

いま見ているのが夢なら止めろ、止めて写真に撮れ。 小西康陽責任編集・大映映画スチール写真集

この映画を見ようと思ったのは、『いま見ているのが夢なら止めろ、止めて写真に撮れ。』(DU BOOKS、2018年)という大映映画のスチール写真集の表紙に使われていたためだ。写真からはこんな映画とは思わなかった。想定外という意味で楽しく見れた。

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大映映画スチール写真集のポスター

市川崑の演出と宮川一夫のカメラ、ハナ肇のジャズの劇伴により、スタイリッシュだが支離滅裂でなんとも変態趣味の映画に仕上がっている。とくに宮川一夫がカメラがところどころで異彩を放つのは必見。

この映画のタイトルに「ど根性物語」と付いているが、どのあたりが「ど根性」なのかさっぱりわからない。主演の勝新太郎はマイペースだが、不思議ちゃんの江利チエミとの組み合わせが面白い。

当時プログラムピクチャーの一本として制作されたのだろうが、のちに文芸大作映画で知られる市川崑が自由に撮るとこうした作品になるのかという発見がある。最初から狙っていたのではなく、いろいろな要素が重なって化学変化をこうした微妙な変態映画になったのだろう。

今回の大映映画特集には、もっと見たい映画があったのだが、入れ替え制になってからシネマヴェーラ渋谷からは足が遠のくようになった。往時二本立てで上映されていたプログラムピクチャーは二本立てで見たいなあと思ったものだ。

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《映画は大映、ヴェーラも大映》のポスター