退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

所沢市の「育休退園」で思ったこと

所沢市の「育休退園」問題が話題になっている。0~2歳児の子どもを保育園に預けている母親が新たに出産して育児休業を取った際、預けている子どもが退園しなければならないという制度だ。

市は今年の4月からの導入を決定していたが、反発した保護者11人が6月25日に退園の差し止めを求める行政訴訟さいたま地裁に起こした。

www.huffingtonpost.jp

おまかせ民主主義の典型例

この騒動のニュースを読んだ第一印象は、自分の思い通りにならないからといって訴訟を起こすとはずいぶん乱暴な人たちだなということ。

市長も市議会議員も自分たちが選んだ代表であるにもかかわらず、その決定に従えないのか。あるいは市民の立場から、行政の意思決定に積極的に関与することができなかったのか。

こういうのを「おまかせ民主主義」というらしい。選挙で適当に投票した後は、行政のおまかせ(丸投げ)というわけだ。しかも少しでも気に入らないと、法廷に持ち込もうという厚顔ぶり。記者会見の涙も白々しい。なんか酷いもの見たなと感じた。

今回の訴訟で「退園の差し止め」が裁判所に認められれば超ラッキー。「判決が出ることには、どうせ上の子は卒園してるはガハハハ」ということだろう。なんだかなぁ~。

職場復帰時の再入園できるのか

育休中は上の子の育児も自宅でやればいいという市側の主張も理解できる。気になるのは、所沢市の制度では「職場復帰時に上の子の再入園は保証されているのか」ということ。

これにつては市は各保育園に4人分の優先枠が予算上確保されているらしいが、再入園できる「保証」は制度上はないようだ。これではおいそれと育休とれないだろう。

その一方で待機児童を持つ親の立場からすれば、既得権益を主張されてもおもしろくないだろう。限りある保育園の定員を椅子取りゲームのように奪い合うのが実態のようだ。

根本原因は保育園不足だが…

この問題の根本には保育園不足だが、少子化のなかで増設する必要があるのか判断がわかれる。最近では保育園は周辺住民にとって「迷惑施設」になっている現状もある。

そもそも行政が住民のニーズにすべて応えるだけの保育園をつくる義務があるのだろうか。もし法的に義務があるなら、私の住む自治体ではなどは法律違反状態が延々と続いていることになる。行政の裁量の範囲内ということであれば、上に述べたように住民参加による意思決定プロセスで決めればいいだろう。

もっと言えば住民は所沢に固執する必要もない。通勤圏でもっと保育園が充実している自治体を探して転居すればいい。住民が自治体を選ぶ時代でもある。

住民投票やってみれば

所沢市の騒動として思い出すのは、小中学校にエアコン設置の是非を問う住民投票だ。所沢では住民と行政との関係がうまくいってないのか。

今回も裁判の行方は別にしても住民の意見を問う住民投票を実施してみても面白いのではないか。野次馬としてはそんなことを思った。

http://www.flickr.com/photos/94735786@N00/13257178523
photo by David McKelvey

【関連記事】