文豪ヘミングウェイの同名小説を映画化した映画『老人と海』(1958年、監督:ジョン・スタージェス)を鑑賞。原題はThe Old Man and the Sea。
老漁師サンチャゴ(スペンサー・トレイシー)は、長年不運に見舞われていた。独りで出漁した彼は、舟より大きなマカジキに出会い、長時間にわたる死闘が始まるが……。
あまりに有名な原作はよく知られているが、あらためて映画を見直すと単純だが古びない物語性に原作のスゴさを感じる。
映画はほとんどトレイシーに一人芝居で展開する。映画化は難しいとされた小説を映画として成立させたのはトレイシーの演技によるところが大きい。
映像的には、スタジオ内につくられた海の映像はいまの感覚ではやや寂しい。ロケによる映像との対比で余計にそう感じる。当時の映像技術では仕方なかったのだろうが、リアリティはないが動く紙芝居のようでかえって面白い効果が生じている点に注目したい。
人によってはナレーションと独白が過剰に思えるかもしれないが、これはヘミングウェイの小説を映画化するのだからこういう演出になるのは必然。英語圏の観客にはより伝わる演出になっている。字幕を読むしかない観客には酷であるがなるが、これは作品の性格上仕方ないだろう。