大規模なデータ分析などの科学的方法により導かれた「効果的教育法」を示す。オリジナルは少し前にベストセラーになったが、今回読んだのは偶然見つけた「まんが版」のほうだ。
- 作者:中室 牧子
- 発売日: 2018/12/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
本書では繰り返しエビデンス(科学的根拠)があることが重要だと説く。そのためには大規模なデータ分析が必要だが、引用されているのはほとんどが海外の研究事例だった。日本にそのまま適用できるのかという疑問は残る。
筆者も日本では行政がデータを開示しないので困ると不満を述べているが、最近はやや状況が好転してきたとも書いている。欧米とは社会的・文化的な背景が異なる日本でも、本書の教育法が正しいのか検証してほしい。
個人的には「非認知能力」が重要だとする点に興味を持った。この「非認知能力」がどの程度正確に測定できるのかわからないが、まあ体験上からも学力以上に「非認知能力」が大事だろうという点は異論はない。
最近のベストセラーには、「まんが版」がつくられることが多いようだ。いろいろ読んでみると玉石混交というか出来不出来がはげしい。まんがのパートで文字が多すぎて読む気が失せるものや、まんがの画力が水準以下のものも散見される。
その点では本書はよくできている。まんがとその後の解説という構成がうまいし、何よりもまんがパートに魅力がある。
気になるのはオリジナルのエッセンスがどの程度盛り込まれるいるのだろうということだ。こればかりは両方を読み比べてみるしかない。機会があればオリジナルも読んでみたい。