退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

防衛省が韓国軍レーダー照射問題の事実認定を諦めたことに驚いた件

2018年12月20日能登半島沖において、警戒監視中の海上自衛隊P-1哨戒機が、韓国海駆逐艦から火器管制レーダーの照射を受けた事案は、年を越えても解決の兆しを見せていなかった。しかし、21日、防衛省はこの事案について最終見解を出したので驚いた。問題の経緯については防衛省のサイトによくまとめられている。

防衛省の最終見解とは?

日本側は火器管制レーダー照射事案について、映像や探知音を公開するなど国際社会に韓国側の非を訴えていたが、逆に韓国側もそれに応酬するかのように独自の映像を公開するなど、泥試合の様相を呈していた。まるで子どものケンカのようだったが、落とし所はあるだろうかと思っていたところに、突如の防衛省の最終見解が出て驚いた。

最終見解の全文は上記の防衛省のサイトを参照してほしいが、ざっくり以下の内容である。

  1. STIR音と探知音を含む”客観的事実”をとりまとめる
  2. 二国間の実務レベルで事実認定を争うことを諦めた
  3. 防衛協力の継続に向けて努力する

防衛省の立場からまとめた客観的事実は従来どおりであり、おそらく専門家が見ればどちらの言い分に部があるのか明らかなのであろう。問題はそのあとである。


韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について

事実認定を争うことを諦めた!?

この最終見解で注目したいのは「事実認定を争うことを諦めた」ということである。防衛省の最終見解では以下のように述べられている。

これ以上実務者協議を継続しても、真実の究明に至らないと考えられることから、本件事案に関する協議を韓国側と続けていくことはもはや困難であると判断いたします。

相手のある以上、協議において真相解明を断念するのは仕方ないのかもしれないが、これは韓国の国情を考えれば事前に想像できたことであろう。にもかかわらず、映像などを公開して韓国を追いつめて挙げ句に真相解明を断念というがわからない。やるなら徹底的にやればいいと思うし、その覚悟はなかったのかが疑問である。突然の腰砕けは不可解。

防衛協力の継続に向けて努力する!?

しかもこれだけ日韓関係が悪化しているのに、「防衛協力の継続に向けて努力する」というのも相当おかしい。最終見解ではこのように述べられている。

本公表が、同種事案の再発防止につながることを期待するとともに、引き続き、日韓・日米韓の防衛協力の継続へ向けて真摯に努力していく考えです。

日韓関係は政治レベルではいろいろあるだろうが、実務者レベルでもこのように信頼関係がないのが明らかになった。このような状況で、いざというときに本当に「防衛協力」できるのだろうか。

今回もアメリカに怒られて、これ以上エスカレートしないように「最終見解」ということになったのが真実かもしれないが、さすがにこのままではマズイのではないか。

今後の日韓関係は?

言うまでもなく、慰安婦問題、徴用工問題、レーダー照射事案など、かつてないほど日韓関係は悪化している。安全保障の観点からも由々しき事態なのだろうが、安倍政権はどうするつもりなのだろうか。

レーダー照射事案については、今回の防衛省の最終見解で実務者レベルでの交渉打ち切りが決まったが、これを受けて日本政府はどうするのだろうか。まさかこのまま打ち止めというわけでもあるまい。自民党議員のなかには経済制裁渡航制限など強硬策を唱える者も多いようだが、果たしてどうなるのか。

いずれにせよ、おかしな隣人がいても賃貸マンションのように気軽に引っ越すわけにはいかないのが国際社会である。上手くやっていくほかないがストレスのたまることである。

Kawasaki P-1