東村アキコのコミック「海月姫」(全17巻)を読み終わりました。「おしゃれ」に縁のなかった少女・月海と女装男子・蔵之介が繰り広げる騒動を描いたラブコメディ。
- 作者:東村 アキコ
- 発売日: 2009/03/13
- メディア: コミック
- 作者:東村 アキコ
- 発売日: 2017/11/13
- メディア: コミック
前巻と同じように最終巻を手に取ってまず思ったのは「本が薄い」ということ。この巻で完結するのは読む前からわかっていたので、これで終われるのだろうかと思いながら読み始める。
ネタバレはやめておくが、天水館の面々が水族館でファッションショーを開催して大団円。未完で終わらなかったのはよかったが、無難なエンディングで面白味には欠ける。ただし天水館に暮らす売れっ子BL作家の目白さんの正体に意外性があったのはよかった。
全編を振り返ると、前半の躍動感にくらべて後半は失速していった印象は拭えない。作者がこの作品に飽きたのだろうか。「作品をきっちり終わらせるののはプロ漫画家の責任」と誰かが言っていたが、まったくその通り。
主人公たちがシンガポールに行ったあたりから、「ん?」と思うことが多くなった。海外に行ったことがその後のストーリーにあまり活きていないのが残念。ブランドを国際的に展開させるのかと思いきや、そういうわけでもないし……。
それでも設定を含めて前半は文句なく面白いので、コミックを原作にしてアニメ、実写映画(主演:能年玲奈)、テレビドラマ(主演:芳根京子)へと次々に映像化され、映像化コンプリートとなった。
とくに能年玲奈(現;のん)が主演した実写映画は、オタク住民の“尼〜ず”たちのキャスティングが素晴らしく、コミックの実写化が難しいとされるなか、映画としてもなかなかよくできていた。
- 発売日: 2015/03/18
- メディア: Blu-ray
- 発売日: 2015/07/02
- メディア: Blu-ray
「先生の次回作に期待しましょう」と安易に言いたくないが、作者にむら気があるように思うのは私だけだろうか。自伝的コミック「かくかくしかじか」のように、終わりが決まっていれば、しっかりと終われるのに……。連載漫画だと仕方ないのかもしれないが、単行本になって読む派の私にとっては惜しい作品に思えてならない。