《新文芸坐セレクション Vol.4 絶対に観てほしい活劇 電光石火の24本!》で映画『いつかギラギラする日』(1992年)を鑑賞。深作欣二監督がひさしぶりに撮ったアクション映画。
ベテランギャングの神崎(萩原健一)、井村(石橋蓮司)、柴(千葉真一)の三人組は、角町(木村一八)から持ちかけられたリゾートホテルの売上金を強奪する。しかし2億円あるはずがジュラルミン・ケースには5000万円しか入っていなかった。錯乱した角町は井村を射殺して金を持って逃亡。紫の恋人・麻衣(荻野目慶子)と結託して自分のライブハウスを開店させるようとする。怒り狂った神崎は、警察やヤクザを巻き込みながら若者カップルに報復していく。
とにかく脚本がおかしい。現金強奪が簡単に成功するころや、若者バカップルがライブハウスに執着することなど、首を傾げるほかない。
せっかく萩原健一、石橋蓮司、千葉真一が3人揃っているのに、ふたりは早々にログアウトするのももったいない。もう少し3人の掛け合いを見たかった。結局、萩原と木村の一騎打ちになるわけだが、とにかく若者バカップルがうるさすぎる。
萩原健一と多岐川裕美の中年カップルと、木村一八と荻野目慶子の若者バカップルの対比を強調したかったのかもしれないが、荻野目の演技が痛すぎてウンザリ。それでも良くも悪くも観客に強烈な印象を残すのは演技を超越した何かを持っているのだろう。
そして時代性もあるだろうがライブハウスのロックバンドがダサいのも難点。そのため何のためにライブハウスに固執しているのか説得力がない。当時はイケてたのだろうか……。
それでも萩原健一はきちんと仕事をしていて抜群にカッコいいし、北海道を舞台としたカースタントも日本映画としてはよくできている。興行的には成功しなかった映画だが、この2つをみるだけでも一見の価値はある。