バカ売れしてというのでどんな本か読んでみました。平和ボケした日本の現状に警鐘を鳴らす寓話的「警世の書」というところでしょうか。「カエルの楽園」というは言うまでもなく日本のことです。筆者の卓越した筆力のおかげでしょうか、内容はともかくとても読みやすい本に仕上がっています。
ストーリーは以下のとおり。カッコ内は寓話で暗示されていると思われる設定です。
安住の地を求めて旅に出たアマガエルのソクラテスとロベルトは、豊かで平和な国「ナパージュ」(日本)に辿り着く。そこでは心優しいツチガエル(日本人)たちが、奇妙な戒律「三戒」(日本国憲法第九条)を守って暮らしていた。
ツチガエルたちは、ナパージュが平和なのは、そのに住む大鷲スチームボート(アメリカ)のおかげなのに、三戒があるからだと思い込んでいる。ある日、スチームボートがナパージュを離れると、あっという間にナパージュはウシガエル(中国)に侵略され滅んでしまう。
ざっくり、このような単純な話ですが、他にも「デイブレイク=朝日新聞」、「ハンドレッド=百田尚樹(本人!)」といった名指しに近い登場人物も登場します。ネトウヨは歓喜するでしょうがいいのでしょうか。あまり上品とは言えませんね。
話がとても単純化されているので読みやすいですが、風刺が効いているわけでもなくあまりにも直球すぎて読み物としての面白味には欠けるなと感じました。
それでも、このような政治的メッセージを多分に含んだ寓話がベストセラーになったのは画期的なことです。これを契機に日本でも上質の政治風刺を題材にした小説が出版されることを期待したいものです。