英国で7日に実施された下院総選挙(定数:650)で、キャメロン首相が率いる保守党が予想外に得票を伸ばし、単独過半数を確保した。投票率は66.1パーセントだったが、意外に低い。
英国の政治制度については下の動画が参考になるだろう。「英国人でない人のための総選挙 2015」といったところか。日本と同様に議院内閣制だが、英国の下院(House of Commons)の選挙は完全小選挙区制である。
The UK election 2015 explained for non-Brits ...
予想は大ハズレ
保守党(Conservative)が331議席を獲得し、単独過半数を確保した。選挙結果の詳細は下記のBBCのサイトが詳しい。www.bbc.com
専門家は、二大政党はどちらも議席の過半数を確保できずに政治が不安定になると予想して、「勝者なき選挙」「二大政党制の終焉」などと吹聴していた。なかには議会でどの政党も議席の単独過半数を獲得していない状態をハング・パーラメント(hung parliament)というのだと、ドヤ顔で語っていた人もいたようだ(笑)。
しかしフタを開けてみれば保守党(Conservative)が単独過半数を獲得という結果だった。結局、経済が好調なので変化を望まないということだろう。もちろん予想は世論調査などのデータに基づいていたのだろう。なぜ選挙結果が予想と違ったのかは明らかにされていないが、興味のあるところである。今後の検証を待ちたい。
スコットランド民族党の大躍進
選挙結果で目立つのは、スコット民族党(Scottish National Party:SNP)の大躍進である。50議席を積み増して56議席を獲得。保守党、労働党(Labour)に次いで一気に第三党に踊りでた。
スコットランドと言えば、昨年UKからの分離独立を問う住民投票が記憶に新しい。住民投票ではUK残留という結果になったったが、SNPの党勢は衰えていないようだ。
党首はニコラ・スタージョン氏。弁護士出身の女性である。まあ決して美人とは言えない(個人的な好みです…)が、赤いスーツはインパクトがあった。
小選挙区制の特徴
選挙結果から小選挙区制の特徴が読み取れるので紹介したい。
今回、反EUを掲げる英国独立党(UKIP)が台風の目になると思われたが、獲得した議席はわずか1議席だった。しかし全国レベルで得票率を見ると、保守党、労働党に続いて第3位で12.6パーセントも獲得している。にもかかわらず、獲得した議席はわずか1つだった。
一方、SNPの得票率はわずか4.7パーセントであるが、獲得議席は56議席。もちろんスコットランドの小選挙区を席巻した結果であるが、小選挙区マジックというか、小選挙区制の特徴がよく出ていて面白い。下にBBCの総選挙のサイトからデータを引用する。
▼各党の獲得議席
▼各党の得票率