開催中の「鳥獣戯画展」を見に上野の東京国立博物館まで行ってきました。国宝・鳥獣戯画をこの目で見るためです。
比較的空いているだろう日時を選んで出かけましたが大変な混雑でした。それでも肉眼で筆致を確かめる価値はあります。写真で見るのとはまったくちがいます。行ってよかったです。
国宝・鳥獣戯画
名前は知らなくても、誰しも一度は目にしたことがある絵巻。墨線のみで動物や人物たちを躍動的に描いた日本絵画史上屈指の作品として知られています。それが戯画、つまり、たわむれに描いた絵というのがまた素敵です。
国宝の甲・乙・丙・丁4巻とともに、この4巻から分かれ、国内外に所蔵される断簡5幅も集結。現存する全ての鳥獣戯画の展示があります。
「鳥獣戯画」については全4巻の前半部分が前期、後半部分が後期に展示されていたので、今回は後半のみが本物で、前半部分は写真フィルムでの展示でした。それでも一巻を通して見ることができるよう配慮されています。
大混雑!!
この展覧会のハイライトはなんといっても甲巻です。動物を擬人化した場面はよく知られています。予想どおり大混雑でした。時間に余裕を持って出かけることをお勧めします。
順路を説明します。京都・高山寺関連の宝物を見たあとに、「鳥獣戯画」を丁→丙→乙の順序で見ていきます。そのあと別格の「甲巻」を見るためだけの列に並ぶことになります。会場は平成館だけなので屋外に出ることはありません。
私は、2時間ぐらい「甲巻」の列で待たされました。公式ツイッターアカウントによれば日時によってはもっと長い列になっているようです。なかには列の途中で諦めた人もいましたが気の毒ですね。
▼混んでました(プギャー)
ここでアドバイス。展覧会を見る前に荷物をロッカーに全部預けてしまうと、長時間並ぶときに困るので気をつけましょう。飲み物や本などの列で待つために最低限必要なものは携帯してください。
私は待っている間は溜まっていたポッドキャストを消化しながら過ごしました。ひとりニヤニヤしていたので周りは不気味だったかもしれません。
苦言
いかに国宝を見るためとは言え、長時間立ったまま列に並ばせるのはあまりに非人間的。せめて、列に並んでいるときに、あと何分待てばいいのか教えてほしい。
そして抜本的な対策として見学者の負担を軽減するような配慮がほしい。30分刻みぐらいの整理券を配るなどして、見学者にロビーや屋外で待ってもらうような心配りはできないものでしょうか。
東京国立博物館に行くと、いつも列に並んでいる印象があります。たしか「翠玉白菜」のときもぶっ倒れそうになった記憶があります。
こうしたことを続けているとそのうち高齢者が倒れて救急車で搬送される事態になるかも。そうならないとシステムは変わらないのでしょう。やれやれ。
▼平成館前の池に鳥獣戯画のキャラがいた
手塚治虫と鳥獣戯画
最後に鳥獣戯画を見に行くことを決心させてくれたテレビ番組を紹介します。「私と鳥獣戯画 手塚治虫」(NHK、1982年)という番組です。日曜美術館が放送開始から40年目を迎えるのを記念して今年春にアンコール放送されました。
手塚治虫の鳥獣戯画に対する博識にも驚きましたが、番組内で自らペンをとって「鳥獣戯画」の出てくる動物を描くシーンまであります。まさに神回。NHKのアーカイブはすばらしい。
鳥獣戯画展が来るのは知っていましたが、並ぶのはイヤだったので行こうかどうか迷っていました。しかしこの番組を見て行くことを決心しました。手塚先生ありがとう。まさに人生は一期一会。
今日はこのくらいにしておきましょう。ごきげんよう。