週末、新文芸坐のオールナイト〈VHS時代を巻き戻せ!〉を見てきました。上映作品は次の4本でした。
- VHSテープを巻き戻せ!(2013年、監督:ジョシュ・ジョンソン)
- バスケットケース(1982年、監督:フランク・ヘネンロッター)
- 悪魔の毒々モンスター(1984年、監督:ロイド・カウフマン)
- 僕らのミライへ逆回転(2008年、監督:ミシェル・ゴンドリー)
『VHSテープを巻き戻せ!』は、ホームビデオに魅せられた人たちのインタビューを交えながらVHSの隆盛から衰退までの歴史を紐解いていくドキュメンタリー映画です。渋谷アップリンクで公開されて気になっていましたが、ついに行かずじまい。今回のオールナイトはこのドキュメンタリーを鑑賞するよい機会でした。
ちなみにVHS(Video Home System)は、日本ビクターが開発した家庭用ビデオ規格です。いまではビデオデッキがないという家庭のほうが多いかもしれません。このビデオデッキの普及に伴い、家庭で映画やドラマやアニメを鑑賞するホームビデオが広まり、映画人たちは低予算で映像作品を制作できるようになり、有象無象の作品が社会に溢れました。現代の映像コンテンツの消費社会の嚆矢とも言える時代の到来です。
インタビューには、押井守などの日本の関係者も何人か登場しますが、個人的にはライターの藤木TDCが日本のAV事情を語っていて、Adult Video Expert という肩書(日本語字幕では省略されてました)で登場していたのが面白かったです。これでいいのか。
『バスケットケース』と『悪魔の毒々モンスター』は、往時隆盛を極めた低コスト映画の定番中の定番。映画館の大きなスクリーンで見ると不思議な感じでしたが、未見の人は一度は見ておくとよいでしょう。
- 出版社/メーカー: キングレコード
- 発売日: 2013/07/10
- メディア: DVD
『僕らのミライへ逆回転』(原題: Be Kind Rewind)で、やっと普通の映画がきました。シネスコの画面が広いこと広いこと。VHSしか置いていないレンタルビデオ店の店員(モス・デフ)とその幼馴染(ジャック・ブラック)が、『ゴースト・バスターズ』などのハリウッド映画をホームビデオで勝手にリメイクを製作してしまう奇想天外なコメディ映画。最後にホロリとさせるいい話になっている。ただ劇中ではリメイクされた映画が好評を得ますが、画面からはまったく面白く見えないのが難点か。
- 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
- 発売日: 2009/03/06
- メディア: DVD
冒頭、江戸木純さん(映画評論家)、田野辺尚人さん(別冊『映画秘宝』編集長)によるトークショーがありました。江戸木さんは雑誌で名前を拝見していましたが、生の声を初めて聞きました。ビデオ作品に字幕を付けたり、海外で作品の買い付けしたりする仕事をしていたそうです。なかなか楽しい話を聞けました。トークショー付きのオールナイトは少しだけ価格設定が高いのですが、今回はバリューがありました。