先日、新文芸坐で「カティンの森」(2007年、アンジェイ・ワイダ)を鑑賞する。タブーとされる“カティンの森事件”の真実を、ポーランド将校とその家族の視点から描いた衝撃作。
- 出版社/メーカー: アルバトロス
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大国・独ソに挟まれたポーランドの運命はあまりにも悲しい。不可侵条約を破棄されて両国から侵攻されるポーランドはあまりに無力だった。
事件に至るまでの時系列に沿って描かれるが、愛国心溢れるポーランド騎兵などの前近代的な軍隊が、ドイツの機甲化部隊に果敢に抵抗するというシーンを期待していたが、戦争シーンはほとんどなくてやや残念。
戦局が進み、映画では虐殺についての明確な描写がないまま、ドイツは降伏して終戦を迎える。戦後はポーランドはソ連の支配下に入るが、その混乱で社会の階級が入れ替わるところがリアルだった。
終盤、殺されたポーランド将校の日記により真実が明らかになる。ソ連軍により、まるでオートメーションのように将校の虐殺が遂行されていくシーンに圧倒される。映画館での衝撃の体験だ。画面から製作者のソ連に対する憤りが伝わってくる。