内容は目新しくはなく旧来からのマナー本ようだ。元・キャリア官僚の処世術の域に留まり、これを「品格」といっていいやら。また、やや上から目線だと感じるは私だけだろうか。特に後半部はかなり説教くさいなあと感じた。
そもそもタイトルが、藤原正彦『国家の品格』のパクリで、便乗商売そのものなのが「品格」があると言えるのだろうか。読んでいると「品格」「品格」とあたらうるさい。これでは「品格」のタタキ売りだ。まあ品格のない例を示しにあたり、何某のようなに実名をあげれば少しは読める本になったかもしれない。
この本は、300万部を売り上げたそうだが、なぜこれほどのベストセラーになったのかわからない。本の内容より「売れた理由」に思いをめぐらすのが有意義かもしれない。社会のモラルが低下して、この本を読んで鼻白む人が多かったのだろうか。ただ世に出んとする者は、この本を反面教師にしたほうがいい部分が多いだろう。ヌルイことばかり言っていると冷や飯食いで終わるのを覚悟しなければならない。「雪山黄金となるもその渇を癒すに足らず」というが、「貧すれば鈍す」あるいは「衣食足りて礼節を知る」という言葉もあるのだから。
ただ「古典を愛でる」「よいものを購って長く使う」というのは傾聴に値する。
- 作者: 坂東眞理子
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2006/09/16
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