アニメ『攻殻機動隊』のバトー役などで知られる大塚明夫による声優論。「声優になりたい奴はバカ」だと一刀両断。声優だけはやめとけと語る主張には、むしろ仕事に対する真摯な姿勢が伺える。
大塚氏が声優業を生業にするようになった経緯も詳しく語っていて、父親・大塚周夫のコネで関係者と引きあわせてもらったとある。まあそれだけで成功できるほど甘くなないのだろうが、やっぱりそういうものなのかと面白く読んだ。
声優たちの内情にもかなり立ち入っているので、ファンにとっては夢が壊されるかもしれないなと心配になる。一方、声優志望の人は必読の一冊を言えるが、いまどき新書とは言え一冊を読み切ることができる若者がどれだけいるのだろう、ということも思った。
また「刀を研いで時期を待つ」という心構えは、他のフリーランスの人にとっても大いに参考になるだろう。広い読者にとっても有用だと思われる。
余談になるが、最近の女性声優を取り巻く状況はこの本とは違うだろうが、願わくば今度は『女・声優魂』のような本も読んでみたい。著者はだれが適任だろうかと思いをめぐらすのも一興だろう。