退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【読書感想】前田裕二『人生の勝算』(幻冬舎、2017年)

とある大学生YouTuberが視聴者からの質問に答えるライブ配信をやっていた。その場で愛読書を訊かれて、この本を推していた。彼は著者の前田裕二氏をとても信奉している様子だったので、どんな人だろうと興味を持ちこの本を手に取ってみた。

人生の勝算 (NewsPicks Book)

人生の勝算 (NewsPicks Book)

著者は、2013年に画期的な仮想ライブ空間「SHOWROOM」を創り出した20代の起業家だ。8歳で両親を失い、生きるために始めた路上ライブの経験が、SHOWROOMの起業に繋がっているという。

www.showroom-live.com

この後の学生時代のことは詳しく書かれていないが、早稲田大学を卒業後、外資投資銀行に入行。ニューヨーク勤務に抜擢されて実績を残す。しかし親しい人の死を契機に、価値創造を志向して起業を決意する。修行のためにDeNAに入社し、ついに「SHOWROOM」を起業する。

出来すぎのようにも思うが、ストーリー性があり映画化できそうな人生である。筆者はまだ弱冠20歳代だというが、密度の高いビジネス経験が紹介されていてい参考になる人も多いだろう。カリスマ性があり冒頭のYouTuberが心酔していたのもわかる気がする。

そのなかでちょっと気になった言葉を抜粋しておく。詳細は本書を参照してほしい。

  • AKBはスナック街である
  • ハードスキルより重要な人当たりのセンス
  • 仕事の成否はモチベーションによって大部分が決まる
  • 選ぶ、ということは、同時に、何かを捨てるということ
  • 足立区とか荒川区とか、東京の東側の匂いがする感じの人と組みたい

またソーシャルネットワークの次を訊かれたら、「ライブストリーミング」だと即答する、とあったが、これは先見の明があると思った。私自身は「SHOWROOM」は慣れないためか落ち着かないが、最近YouTubeライブ配信で時間を費やすことが多くなった。たしかに、この分野は将来性を感じさせる。

本のあとがきでこう語っている。前田裕二の「人生の勝算」は今、はっきりと見えています、と。かっこいい。さぞかしモテるのだろう。

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