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退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

朝ドラ『べっぴんさん』終わりました

週末、録画してあったNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』(脚本:渡辺千穂)を見終わった。主演は芳根京子。実在のアパレルメーカー「ファミリア」の創業者がモデル。

このドラマは、神戸の深窓の令嬢だったヒロインの坂東すみれ(芳根京子)が戦後の混乱を残り超え、3人の共同創業者(谷村美月百田夏菜子、土村芳)とともに子供服メーカー「キアリス」を創業して見事に成功するというサクセスストーリー。

正直なんとも盛り上がらな朝ドラだった。朝ドラ史上の黒歴史のひとつかもしれない。以下に気になったところを拾っていく。とくに脚本がおかしい。

まずネタベレ脚本。初回の創業20周年パーティーの場面でヒロインの夫(永山絢斗)が登場する。終戦後、すみれが出征した夫の生死もわからずに帰りをひたすら待つのだが、パーティーを先に見ているので紀夫が生還することがネタバレしている。このあたりから、この脚本はマズイかもと思った次第。

次に時代がわかりにくい。20歳前後の主人公たちが登場人物の半生を演じているので仕方ないい面もあるが、登場人物がいま何歳ぐらいの話なのか見えにくい。それを補うためか大阪万博オイルショックなどのイベントが挿入されているのもわざとらしい。

劇中、すみれの一人娘・さくら(井頭愛海)がジャズ喫茶で夜遊びするようになり「積木くずし」かと思うエピソードがある。母・すみれが娘・さくらを叱りつけるシーンなどは、どちらも同じぐらいの歳でワケがわからなかった。

終盤ではさくらが結婚・出産して、すみれは孫ができる歳になるが、外見が若いままでかなり違和感があった。

そして、ドラマにどうしても乗り切れない理由は終始一貫して金持ちの話だからかもしれない。ヒロインは裕福な実業家の娘として育ち、戦争で屋敷を失うが終戦後いきなり家を建てて困窮した様子がない。キアリス創業後もたいした困難もなく順調に事業が成功するお気楽ぶり。

さらには身内をコネ入社させ会社経営を引き継がせるという典型的な同族会社というのも引っかかる。なぜビジネスが成功したのかという点にまるで説得力がない。脚本家は会社勤めの経験がないのだろうか。

いろいろ感情移入しにくい朝ドラだったが、創業者4人の絆とその周りの人間関係がよく描けていたのはよかった。

余談だが、ヒロインの母親・はなを菅野美穂が演じるということで大いに楽しみにしていたが、最初の週の途中で世を去った。あまりに退場が早すぎてがっかりしたことも付言しておきたい。

べっぴんさんメモリアルブック (ステラMOOK)