退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

朝ドラ「梅ちゃん先生」見終わりました

2012年度上半期に放送されたNHKの朝ドラ「梅ちゃん先生」をHuluで鑑賞する。主演は堀北真希。結婚して引退の憶測も流れている彼女だが、この作品が出世作なのは間違いない。

梅ちゃん先生 完全版 DVD-BOX1【DVD】

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舞台は空襲で焦土となった蒲田。松子(ミムラ)、竹夫(小出恵介)という二人の優秀な姉兄をもつ下村梅子(堀北真希)が一念発起して医師となり、町の人たちから「梅ちゃん先生」と慕われる町医者になる物語である。

堀北真希が適役

主役の梅子役はオーディションなしで堀北が抜擢されたそうだが、このキャスティングは奏効している。決して演技派とは言えない堀北のためのドラマと言っていいほど適役。ドジっ娘が奮闘して成功するのは朝ドラの王道だ。

とくに学生時代は必見。医学部教授である父親・建造(高橋克実)が患者の命を救うのを眼前でみて医師になることを決意し、受験勉強を経て見事に医専に合格。さらに恋に悩みながらも学友たちと学業に励み、医師になるまでの娘時代の堀北は魅力全開。

下村家と安岡家

ドラマを見て気になったのは、下村家と安岡家のアンバランスさだ。下村家の家長・建造は帝都大医学部教授。一方の安岡家の家長・幸吉(片岡鶴太郎)は只の零細町工場のオヤジである。どう考えても釣り合わない。このふたりはいつも言い争いしているが、実は厚い友情で結ばれているという設定である。

さらに主人公の梅子と安岡家の長男・信郎(松坂桃李)が結婚することになる。家が隣同士で幼なじみなのだが、いくらなんでもこれはないだろう。帝都大の医局勤務を経験したインテリ女医とろくに本も読んだこともない無学の工員。現実世界では無理な取り合わせ。

しかしドラマでは、夫婦円満で二人の男子に恵まれて幸せそうだ。父親が大学教授なのだか将来有望な教え子と結婚させればいいものに、とそんなことを思いながら見ていた。まあ、これだけ知的レベルが違うふたりがうまくいくとは思えない。

ハッピーエンド

それでも戦後復興から高度経済成長の時代を背景にハッピーエンドの結末を迎える。ラストで建造がのど自慢にテレビ出演し「上を向いて歩こう」を歌い、下村家では一家揃ってテレビのなかの建造を観るシーンで終わる。

日本が右肩上がりだった時代をあらわす、よくできた演出である。松子、竹夫、梅子それぞれに子どもがいるところもミソ。少子高齢化が社会問題になり日本が次第に衰退していくなか、せめてドラマのなかだけでも大団円でありたいという視聴者のニーズにも応えているのだろう。

朝ドラの伝統的な様式に則りよくできたドラマで満足しました。

NHKウイークリーステラ臨時増刊10月31日号 梅ちゃん先生 メモリアルブック