退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

『第三次世界大戦 四十一時間の恐怖』(1960)

銀座シネパトスの《銀座シネパニック!! 〜邦画パニック映画特集〜》という特集で「第三次世界大戦 四十一時間の恐怖」(1960年、日高繁明)を観る。OPの第二東映のロゴは貴重かも。

東西冷戦という時代背景のもとで作られたディザスタームービー。低予算のせいか軍事衝突の場面はあまり映像化されず、世界大戦が勃発する過程はラジオのニュース報道で伝えられる。もっぱら東京近辺を舞台に市井の人たちの群像劇として展開する。

冒頭、授業で原爆の記録映像を見せて、空疎な平和主義を唱えている左マキの高校教師の登場して失笑をかう。この記録映画に感化されたのか、バカ高校生が3人で小型船舶でアフリカに脱出しようとしてあえなく遭難する。しかし映画の終盤で世界大戦により先進諸国が壊滅した後、南半球(アルゼンチンからの放送あり)が生き残っていたことを考えると、アフリカ脱出は正解だったかも。

映画のなかで「武装放棄したから日本は安全だ」「でも米軍基地があるから攻撃される」とかいうセリフがある。世界情勢は大きく変化しているのに、日本だけは変わっていない。現在、ソ連崩壊により冷戦は解消し、既に米ソによる全面的な核戦争の恐怖は遠のいた。それでも日本の安全保障の体制は冷戦時代のままというは、どうしたものだろうか。

ちなみに第三次世界大戦を題材にした日本映画では、東宝の「世界大戦争」(1961年、松林宗恵)が有名である。本作のほうが先に公開されているが、特撮ファンとしては「世界大戦争」を推したい