退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

WALL・E ウォーリー

早稲田松竹で「WALL・E ウォーリー」(2008年, アンドリュー・スタントン)を観る。

ウォーリー [DVD]

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ロボットを擬人化する試みは安直すぎないかと思ったが、予想を上回る完成度ですばらしい映画だった。

宇宙船内部の描写に見られる、ピクサーによる3Dアニメーションの表現技法は行き着くところまで到達した感もある。それのみならず、観客がロボットたちに自然に感情移入できる演出も手堅いものを感じさせる。

ただ宣伝では、ゴミ処理ロボット・ウォーリーは、「700年間独りぼっち…」というコピーが付いていたが、あまり孤独感が伝わってこなかったし、ウォーリーが実際どういう気持ちだったのがわかりにくかった。そこを押さえておくと、イヴに出会う場面がより引き立ったのではないか。

舞台が宇宙に移ったあとは、昔のSF映画から引用したネタが多数登場してSFファンはニヤリとする場面が多く、子どもだけでなく幅広い層に受け入れられやすいだろう。

また環境問題を克服できずに宇宙船で脱出する人類という設定は、現代のアメリカを暗に批判しつつ、人類に警鐘を鳴らしているとも捉えられなくもない。再生への希望へ踏み出すところで幕になるのもよかった。