音響メーカーのオンキヨーは、DENONやMarantzを傘下に持つ米Sound Unitedとの間で、ホームAV事業の譲渡に向けて本格的な協議に入ることを発表した。
オンキヨーは、ピュアオーディオの衰退期を生き延びてきた数少ない日本の音響メーカーである。ネットワークやAIなどの最新技術の進歩に伴うユーザーニーズの多様化を背景に、グローバルなスケールでのAV業界の再編成の流れのなか、単独での生き残りは難しいという判断であろうか。
既にオンキヨーはパイオニアのAV事業を統合しており、この譲渡が成立すると、オンキヨーとパイオニア、デノンとマランツというかつての憧れのオーディオブランドが米社の傘下におさまることになる。
HI-Fiオーディオという語はすっかり死語になっている感もあるが、80年代からわずかな期間であったが日本のAV機器が世界を席巻した時代を知るものとしてはさみしい限りだ。
もっとも日本の住宅事情を考えると、国内でピュアオーディオが普及するのは無理だったのかもしれないと思うが、ラックスマン、アキュフェーズのように高級路線で生き残っているブランドもある。オンキヨーなどはオーディオ専業メーカーとして継続するには大きくなりすぎたのかもしれない。
オンキヨーに話を戻すと、学生時代にINTECシリーズというミニコンポ(?)が無性にほしかったことを思い出す。その後、20年以上を経て「INTEC」復活というニュースを見つけた。いまどきのコンポらしくネットワーク対応で物欲をそそるものだった。
しかし現在の生活パターンや住宅事情を考えると、スピーカーをがんがん鳴らしてコンポを楽しむというのは無理があると考え断念。良質のDACやヘッドホンなどを導入したほうが生活に合っている。いつの日かピュアオーディオでスピーカーを思いっきり鳴らして楽しみたいと思うが、都市生活とはなかなか両立できないだろう。オーディオは都市生活を選択してあきらめたモノのひとつである。
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