過日、銀座テアトルシネマで、「赤と黒」(1954年、クロード・オータン・ララ)を観る。ジェラール・フィリップ没後50年特別企画。デジタルリマスター版だったので画像は美しく、古い映画にありがちな読みにくい字幕を心配していたが、今回はだいじょうぶだった。
- 出版社/メーカー: アイ・ヴィー・シー
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本作は言うまでもなくスタンダールの同名小説の映画化。あまりにも有名なので物語の展開にわくわくすることもないが、ジェラール・フィリップはさすがに美しい。
ただ主人公・ジュリアン・ソレルには、復古王政により旧来の支配階層が復活するフランスで、成り上がろうとする野心家としてはタフさが感じられず、繊細で脆弱さすら感じるのは、私のイメージとは違った。
そしてレナール夫人の殺害を企てた後、マチルドがあまり関与してこないのは気になった。原作はどうだったか忘れたが、レナール夫人とマチルドの両者の愛に包まれながら、死刑を受け入れる、という話だったような記憶もあるが…。ひょっとすると宝塚歌劇版(星組:2008年)と勘違いしているかも。
映画は刑場に自ら歩いていくシーンで終わる。さすがマチルドが生首にキスするシーンはない。やはりこれは映像化は無理なのか。
途中、インターミッションのある長尺の映画で、多少間延びしている感もあるが、古典として一度は見ておくべき作品だろう。