新文芸坐で「横堀川」(1966年、大庭秀雄)を観る。「沈まぬ太陽」公開記念の山崎豊子特集。長尺の「不毛地帯」との2本立てだったが、これはプログラムに無理あるだろう。
松竹らしい船場モノ。倍賞千恵子が演じるヒロインは昆布商の一人娘。放蕩に明け暮れるボンボン(中村扇雀)と結婚し、呉服屋に嫁入りしひとりで店を切り盛りする。しかしボンボンの浪費は止まず、ついに呉服屋は倒産。それでもめげずに寄席経営に始め、事業を次々に拡大していく波乱万丈のサクセスストーリー。
倍賞が寄席事業に奮闘しているなか、ボンボンは妾宅で腹上死(明示的には描かれないが勝手にそう解釈)する。男としては、ある意味あこがれる人生かもしれない。その知らせを聞いて、愛人宅に駆けつける倍賞の振る舞いがふるっていて、この映画の見どころのひとつ。
ちなみに本作は、NHKのテレビドラマとしても劇化された作品で、テレビドラマでは最近亡くなった南田洋子がヒロインを演じている。一度見てみたいが、現存する映像はごく一部とのこと。