「彩り河」(1984年、三村晴彦)を、DVDで鑑賞。松本清張の同名小説の映画化。
原作は未読だが、主人公の若者(本作では真田広之)の復習譚と並行して、多様な登場人物により政財界の虚々実々の駆け引きが描かれる重層的な社会派サスペンスになるはずだったのだろう。しかし脚本上での整理が不十分で散漫な映画になっている。脚本に4人も名を連ねているので不安であったのだが、これでは豪華な出演陣をもってしても挽回しようもない。
あえて見どころを探すとすれば、ハゲの三國連太郎の変態オヤジぶりと、吉行和子のクラブのママぐらいだろうか。真田広之と名取裕子との濡れ場も、荒れる日本海の映像を無理やり重ねる陳腐な演出で台無し。せめて名取裕子の裸体を綺麗にフィルムの残すことに成功していれば、こんな映画でも少しは存在価値があっただろう。
真田広之の歌が流れてエンドロールになったときは、「これで終わりかよ」と軽くずっこけた。あまりにも酷い。DVDの特典映像の「特報」で松本清張が作品について語っている場面がある。原作者は、この映画を観てどう思ったのだろうか。