新文芸坐で「山桜」(2008年, 篠原哲雄)を鑑賞。藤沢周平の短編小説の映画化。原作は20ページほどの短編を一本の映画に仕立てたせいか、野江の嫁ぎ先や悪徳家老の描写があまりに類型的で直球すぎるのは気になる。
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- 発売日: 2008/12/24
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野江役の田中麗奈は時代劇初挑戦とのこと。耐える女を好演しているが、着物の着こなしは、どうしても様になっていないように見えた。こればかりは経験がモノを言うのかもしれないが、桜花をモチーフにした着物の柄は一見の価値あり。一方、東山紀之はセリフが少ないが、殺陣や所作が単純にカッコいいし存在感がある。あれだけの人物がなぜ独身のままだったのかという疑問は残るが……。
藤沢周平文学としては、珍しく女性の生き方をテーマに据えた作品である。大きく破綻せずに無難にまとまっているの好印象。とくに風景描写が素晴らしいので、是非スクリーンで観てほしい作品だ。ちょうど桜の季節に本作を観たために印象が強まったのもしれない。