六本木シネマートで「青い鳥」(2008年、中西健二)を鑑賞。笑いや恋愛とは無縁のいたって真面目な映画である。
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いじめが原因で男子生徒の自殺未遂事件が起こり、その生徒は街を去った。新学期を迎え、その生徒の所属していた中2のクラスを、阿部寛が代理教師として担任することになった。教壇からのカメラアングルが新鮮だ。
実際、今の中学校の雰囲気はどんなものかわからないけど、きっとうまく切り取っているのだろうとは感じさせる。設定として阿部が吃音者なのは、言葉の重みを際立たせるためのレトリックだと思うが、それがやや透けて見えるので興醒めする。役作りといえばそうかもしれないが、観客に気づかせてはいけない。
それにしても、阿部は売れているのはわかるが、大河ドラマで上杉謙信を見て、次の日にこの映画を観ると、やっぱり露出が多すぎるかなという気がする。
とはいうものの、映画には不思議な雰囲気があり引き込まれた。地味な映画だが、出演者と製作者による真摯な取り組みが感じられる良心的な作品である。この映画を観た生徒たちに、何らかのメッセージが届けばいいと思わずにはいられない。
ラストに阿部はバスの中で石川啄木の詩集を読んでいることが示されるが、それにどんな意味が持たされていたのかと考えたが結局わからなかった。単なる人物設定のひとつなのかとも思うが。
余談。上映前に、まきちゃんぐが歌うこの映画のテーマ曲「鋼の心」が劇場でエンドレスで流れていたが、どうかと思った。やはりテーマ曲は劇中で新鮮な気分で接したいものだ。