【訃報】映画監督の佐藤純彌さん死去 - 退屈な日々 / Der graue Alltag

映画監督の佐藤純彌さんの訃報が報じられました。86歳でした。

「ミスター超大作」の異名をとり、東映でヤクザ映画を撮っていた時期を除き、大作を手がけることが多かったせいもあり、後半は寡作と言ってもいいでしょう。オレ的には思い出のある作品を多く残した監督でした。

昨年末に新文芸坐で関連書籍を記念した佐藤純彌監督特集がありました。そこで何本か作品を見直していたこともあり、今回の訃報には驚きました。幕間に流された監督のインタビュー映像が思い出されます。

追悼も込めて、印象に残っている監督作品を紹介します。

国産パニック映画の名作。高倉健主演。「新幹線が走行速度80km/hを下回ると爆発する」という設定がユニークな犯人と体制との攻防劇です。エンターテイメント映画の見本。

東映の持ち味がいい方に転がり海外での評価も高い作品。宝町のフィルムセンター（当時）の階段に名作といわれる映画のポスターが掲示されているなかに『新幹線大爆破』が混じっていて驚いたことがあります。

封切り時の興行成績は散々だったそうですが、後年評価が高まった作品です。未見の人はぜひ見てみてください。オススメです。

高倉健主演のサスペンスアクション映画。エリート検事が強盗殺人の罪を着せられて逃亡し、濡れ衣を晴らすストーリーです。ハリソン・フォード主演の『逃亡者』の路線です。

ツッコミどころの多い作品でカルト映画に分類されても仕方のない映画ですが、新宿の街を多くの馬が暴走するシーンだけはすごい。このシーンで私の評価は跳ね上がりました。この映画は中国で人気を博し、ヒロインの中野良子の代表作にもなりました。

井上靖の同名小説の映画化作品。シルクロードを舞台にした歴史スペクタクル。監督の代表作。当初、小林正樹が監督に予定されていたが頓挫し、深作欣二にも固辞されて、日中合作の経験がある佐藤純彌にお鉢がまわってきたという。

映画としてどうかというと正直微妙ですが、潤沢な予算で撮影したシルクロードの映像はいま見ても感動的。バブル期ならではの大作。大きなスクリーンで見るべき映画。

番外です。監督のフィルモグラフィーのなかでも異彩を放つ「迷作」。立派なスタッフが揃っていたのに、どうしてこんな映画になったのか、その経緯を知りたいと思わせる謎の映画。北京原人を安心させようと片岡礼子が脱ぎだすシーンはもはや伝説。