退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『妻は告白する』(1961) / 若尾文子x増村保造の異色作

Amazonプライム・ビデオで映画『妻は告白する』(1961年、監督:増村保造)を鑑賞。円山雅也の小説「遭難・ある夫婦の場合」の映画化。主演は若尾文子。白黒映画。

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滝川彩子(若尾文子)と夫・亮吉(小沢栄太郎)の夫婦は不幸な結構生活を送っていた。ある日、滝川夫婦と彩子が好意を寄せる製薬会社の若手社員・幸田(川口浩)の3人で北穂高に登山に出かけるが、途中の岩壁で遭難する。ザイルで宙吊りになり絶体絶命の状況で妻・彩子はナイフでザイルを切り、夫は転落死する。この措置が緊急避難として認められるか、それとも殺意があったのか裁判で争われる。彩子は無罪の判決を勝ち取ったが、莫大な保険金を得たことにより人生が狂い、ついに悲劇を招く。

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こんな話だが若尾の独特のセリフ回しがじわじわくる。後に大映テレビの立ち上げに参画した増村監督の持ち味がよく出ている。大映テレビのドラマ先取りしたような映画でもある。

この映画を見たという人と話をしたが、この映画の若尾の独特のセリフ回しは無理だという。どうしても受け付けないらしい。若尾文子の魅力が炸裂していて私などはコレがいいのにと思うだが……。

映画の構成はかっちりしていて破綻がない。いま見てもよくできていて勉強になる。教科書的な演出といってよいだろう。

もう半世紀以上前の映画なのでネタバレしてもいいだろう。幸田の勤務先に彩子が訪ねてきて、会社で服毒自殺を遂げるラストがすごい。若尾がずぶ濡れで会社にやってきて自殺するまでの演技がドロドロしていて深い印象を残す。

それにしても、自分の職場で女に自殺された幸田はたまったものじゃないだろう。まあ若尾文子といい仲になってあれこれと楽しんだのだから、こういう結末でも収支は赤字ではあるまい。