退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『ナイトクローラー』(2014) / 思わず「くずうううっ」と叫びたくなる映画

新文芸坐の《スクリーンで観ておきたい珠玉の名編Vol.24》で映画『ナイトクローラー』(2014年、監督・脚本:ダン・ギルロイ)を鑑賞。ロサンゼルスで起こる事故や犯罪、火事などの刺激的な映像を撮影して、テレビ局に売り込む病的なジャーナリスト(と言えるのか?)を描く。まだ4月だが今年観たなかで最高傑作。

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主人公のルイス・ブルーム(ジェイク・ジレンホール)は、偶然遭遇した交通事故を撮影するカメラマンに触発され、カメラと警察無無線機を購入し車強盗の現場を撮影して映像をローカル局に売り込みいくらかの報酬を得る。

ローカル局の女性ディレクターは撮影を続けること勧め、ルイスもお金欲しさにアシスタントを雇いスクープ映像を追いかけることにする。刺激的な映像ほど高く売れるので、ルイスの行動は次第に常軌を逸するようになり、事件現場を改ざんしたり、競争相手の車に細工をして事故を引き起こしその現場を撮影したりする。狂気の沙汰だ。

ルイスは、その後も悪質な違法行為を続けてアシスタントを死に至らしめるが、警察は証拠がないため手出しができない。釈放されたルイスはビジネスを拡張していく。

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主演のジェイク・ジレンホールが素晴らしい。目がくぼんだ形相で登場した時点で観客には主人公が病的であることがわかし、次第にエスカレートしていく不気味さを見事に演じている。

この主人公は性根の腐ったクズなのだが、学歴はないが話術は実に巧みでどんどん成り上がっていく。このコミュニケーション・スキルがあれば、どの分野でも成功しそうなものが……。

またテンポのよい脚本も見事。あっという間にラストまで走り抜けていく。最後にルイスはどのような罰を受けるのかと思いきや、ルイスは野放しになったまま完結しないで終わる。勧善懲悪は映画のなかにすらなかったとうことか。

ルイスの撮ったスクープ映像を興味本位で多くの人が見ていることを思うと、ルイスと同じぐらいアメリカ社会が狂っているのではと思わずにはいられない。

映画からやや外れるが、そもそもロサンゼルスで報道専用のパパラッチのような仕事が成立していることにも驚く。社会に刺激的な映像のニーズが一定程度あるということだろう。交通事故などならまだしも銃を使った強盗現場のスクープ映像が放送されるのがすごい。さすが銃社会アメリカ。

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