退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『リアリティのダンス』(2013) / ホドロフスキー監督の23年ぶりの新作

先日、新文芸坐で映画『リアリティのダンス』(2013年、監督:アレハンドロ・ホドロフスキー)を見てきました。『ホドロフスキーのDUNE』(2013年)との二本立てで〈ホドロフスキー祭り〉でした。

リアリティのダンス 無修正版 [Blu-ray]

リアリティのダンス 無修正版 [Blu-ray]

本作は、ホドロフスキー監督の23年ぶりの新作。監督の自伝的要素が色濃く出ている作品です。舞台は1920年代の南米チリ。幼少のアレハンドロ・ホドロフスキーは、ウクライナから移民してきたユダヤ人の両親と軍事政権下のチリで暮らしているところから始まります。


映画『リアリティのダンス』予告編 - YouTube

前半では、幼少のアレハンドロを中心に、家父長的な権力を振るう父ハイメと母サラの日常風景が描かれます。父ハイメの横暴は今ならDV間違いなし。命令に逆らえば暴力的にお仕置きされて、「真の男」になるため麻酔なしで歯の治療を受けさせたりもします。しかも家の外でも移民の子いうことでいじめられるという境遇です。それを耐え忍ぶアレハンドロがフォーカスされます。

一方、後半は父ハイメを中心に物語が展開します。共産党員であるハイメはスターリンを信奉し、チリの独裁者のカルロス・イバニェス大統領も支持しています。しかしイバニェスを暗殺しかければならない状況になりますが、結果として大統領の命を救い、彼の馬丁として雇われます。その後、大統領の愛馬の死とともに、記憶を失い放浪生活となるも紆余曲折を経て家族のもとに戻る。そんな話です。

映画『リアリティのダンス』劇場用パンフレット

そして幼少のアレハンドロの護る背後霊のように、ホドロフスキー監督自身も映画に登場します。

全編を通して色彩的な映像が印象的ですが、いちばん好きなシーンは大統領の愛馬を世話にすることになったハイメが馬を偏愛する場面です。結局、自ら愛馬を殺してしまいますが、〈馬〉を大統領に重ねているのでしょうか。メタファーが多用されている映画なので、一度エラい人の解説付きで見てみたいです。

いまの日本に広く見られている映画とはまったく違う文法に則った映画なので、見る人を選ぶ作品です。寓話的、神話的、詩的と表現されるべきでしょう。フェリーニっぽいと言うとわかりますか。まあ地上波では決して放送されない類の映画です。視聴率的にもコード的にも……。

たまにはこういう映画で頭をリフレッシュするのもいいですね。今回の併映作品は、ドキュメンタリー『ホドロフスキーのDUNE』でしたが、これが『エル・トポ』との二本立てだと、かなりキツかったでしょう。今回はほどよい刺激でした。

f:id:goldensnail:20150426232438j:plain