退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

大型時代劇スペシャル『太閤記』(1987)が奇想天外で面白かった

年末、BS-TBSで放映された大型時代劇スペシャル『太閤記』を鑑賞。1987年元日にTBSで放送された時代劇ドラマ。実質4時間半ぐらいの尺である。制作は東映岡本喜八が監督を務めている。

主演の豊臣秀吉役は柴田恭兵柴田恭兵の軽妙な芝居が、秀吉の明るいキャラクターにマッチして楽しい。そして注目すべきは明智光秀を演じる千葉真一。背中に鉄砲を背負って登場し、武芸に秀でているという設定で殺陣も存分に見せてくれる。かっこいい。

このドラマは豊臣秀吉織田信長に仕えてから、明智光秀山崎の戦いで打ち破り天下統一を果たすまでの半生を描く。オーソドックスな太閤記から、より娯楽性の強い作品に大胆に潤色されている。

架空の人物である夢御前(松坂慶子)が物語全編を通じて重要なポイントに登場して絶妙のアクセントになっている。この時期の松坂慶子の美しさは神がかっている。

そして織田信長役の松方弘樹にも注目したい。本能寺の変で信長が、光秀の手勢相手に奮戦して得意の殺陣を見せてくれるのはサービス満点。しかし光秀と一騎打ちで斬り合い、光秀に直接討たれるのには驚いた。

さらに光秀が、船の上の足利義昭石橋蓮司)を長距離射撃で射殺するなど、千葉ちゃんが大活躍。そして義昭を殺害したことを信長に叱責されたことを遺恨に思い、本能寺につながるという流れである。

史実に沿ったオーソドックスな太閤記を期待する人には向かないだろうが、岡本喜八監督らしい良質な娯楽作品に仕上がっている。佐藤勝の劇伴も心地よい。

余談だが、この作品はジャパン・アクション・クラブが関わっているためか千葉真一のほかにも、ギャバン大葉健二加藤清正役で出演しているし、端役だが森永奈緒美の姿も見る(セリフあり)ことができる。二人を画面で探してみるのも楽しいだろう。