退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

『マルサの女2』(1988)

シネマヴェーラ渋谷の「洞口依子映画祭」で映画「マルサの女2」(1988年、伊丹十三)を見る。

大ヒットした「マルサの女」(1987年)の続編。宗教法人をハンドバック(隠れ蓑)代わりにして、不正に蓄財する地上げ屋、そしてこの脱税を摘発する国税局査察部(マルサ)の活躍を描く。バブルを象徴する地上げに80年代の雰囲気が全開。

前作に比べるとマルサの活躍が目立たないのは、地上げ屋の首領を演じる三國連太郎が大きく突出しているからだろうか。あまりに濃いので全体のバランスが崩れている気さえする。

ラストがスッキリしていないのも引っ掛かる。余韻が残るというよりも後味が悪い。やはり続編はむずかしい。それでも、個々のエピソードはサービス精神旺盛なので、なかなか楽しめる。

洞口依子は父親の借金の「担保」に三國に囲われることになる女子高生を演じていて、初々しい輝きで魅せてくれる。洞口といえば、この映画の印象がもっとも強い。