ジャケットに惹かれて、DVDで映画『疾風ロンド』(2016年、監督:吉田照幸)を鑑賞する。原作は東野圭吾の同名小説、主演は阿部寛。
- 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
- 発売日: 2017/06/28
- メディア: DVD
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民間の研究所から生物兵器「K-55」が盗まれ、犯人から「三億円用意しろ」という脅迫メールが届くが、違法につくられた生物兵器のため警察に通報できない。そうしたなか犯人が交通事故で死亡してしまう。研究所は主任研究員の栗林(阿部寛)に「K-55」の回収を命じる。犯人からのメールにあったテディベアの写真から、隠し場所は野沢温泉スキー場であることがわかる。栗林は現地に赴き、捜索を始めるが、立ち入り禁止区域に入って負傷して救助される始末。栗林を救助したスキー場のパトロール隊員の根津(大倉忠義)とプロスノーボードクロス選手の千晶(大島優子)を仲間に引き込み、捜索を続けるが……。
原作は未読だが、ミステリーなのかコメディなのか中途半端。あまりにも安易すぎるストリーがひどすぎる。甚大な被害をもたらすかもしれない生物兵器の扱いが雑すぎて、まったくリアリティがないのが致命的。コメディで客を笑わすにも、それなりのシリアスな設定は必要だろう。
コメディにしても、阿部寛を芝居を受ける役者が配置されていないのは構造的に問題がある。ひとりではコメディはできない。阿部にしても「ギャラ分は働くよ」というぐらいなのかノリが悪いように思えた。
そういう脚本なので仕方ないが、阿部がスキー場で早々に負傷して、捜索をもっぱら大倉忠義と大島優子が担うというのもどうなのだろう。それにしてもジャケットの松葉杖は何だったのか……。
あえて見どころを探すとすれば、スキー場でスノーモービルが疾走し、スキーやスノーボードが木々のすき間を滑走するシーンは爽快感があり、一見の価値がある。映像技術の進歩を感じさせる。
また、大島優子の演技が自然でよかったのはのは発見だった。先日見た『旅のおわり世界のはじまり』の前田敦子にも感じたことだが、AKB48のセンターは伊達じゃないなと思わせてくれる。
まあ最後まで飽きずに見れたので、いうほど悪くはないとも言えるが、現代の日本映画の限界を感じるのも事実。これを映画館の封切りで見たら、おそらく残念な気持ちになっただろう。まあ見ないけどね。