先日、新文芸坐で「わたし出すわ」(2009年、森田芳光)を観る。
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2011/06/08
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主演は小雪。上京し株式により莫大な財をなしていた主人公が、突然、函館に帰郷する。彼女は、高校時代の旧友たちと再会し、友人たちの「夢」の実現のために躊躇なく大金を差し出す。そしてお金を受け取った友人たちのそれぞれの「その後」が描かれる、といった筋立てだ。
技巧的には隙がなく上質で緻密な作品である。飽きずに最後まで観れるが、なぜだか分からないがつまらない。エクスタシーを求める映画ではないだろうが、鑑賞後に心に残ることもない。上品すぎるのかもしれない。
きっと主人公の人物描写が十分ではなく、「彼女自身にやりたいことがないのだろうか?」という疑問が最後まで残ってしまうからかもしれない。自分の希望を認識したうえでの行動なのかもしれないが、お金を提供する動機を含めてそうした問いが観客に投げられている。
いろいろな解釈できるのだろうだが、鑑賞中、始終答えを求めれているようで圧迫感があるのも事実だ。また映画からの情報だけでは人物像を描きづらい面もある。彼女の男女関係や仕事内容もよくわからないし…。
まあ、小雪は、地味な服装でも映える美人であることを再認識できるのは、人によっては見どころだろうし、個人的には黒谷友香との対比は面白かった。
余談だが、映画の宣伝でスエットウェアで手を差し出しているショットがあるが、あれはうまいと思った。