シネマヴェーラ渋谷で「十六歳の戦争」(1976年、松本俊夫)を観る。「70年代の青春:鬱屈と混沌と」という上映企画。いろいろ噂を聞いて一度観たかった作品。
米軍の空爆により亡くなった愛知県豊橋市の軍需工場の勤労女子生徒の慰霊のため、豊橋市が出資した自主制作映画。はっきり言ってかなり難解な作品に仕上がっている。
高校教師(戸浦六宏)が授業で「能」の講義をするところに重要な伏線があり、この映画の成り立ちが、能の形式を踏襲しているところに注目してほしい。でもいかにもわかりにくい。よく練られているのだろうが、けっして万人向けではない。
まあ見所は秋吉久美子の初々しさ。唐突に制服を脱ぎ捨てて、全裸で泳ぐシーンがあるのが、せめてもの救い。しかし、自治体はよく松本俊夫に依頼したものだ。経緯が知りたい。