- 作者: トオマス・マン,実吉捷郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2003/09/18
- メディア: 文庫
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『トーニオ・クレーガー』(Tonio Kröger, 1903年)ともいい、トーマス・マンの中篇小説である。表紙には、「マンの若き日の自画像であり、青春の喜び悩み悲しみを、美しく奏でた青年の歌である」とある。この小説もそうでが、若い時期に読むべき小説というのはたしかにあると感じた。
最初の舞台は北ドイツのリューベック(Lübeck)である。Wikipediaにパノラマ写真があるが、たいへん美しい街だ。この都市の歴史を眺めていると、1942年に英空軍の空襲により破壊されたとあるので、いまの街並は戦後の復興によるものらしい。ため息の出るほど見事な都市である。これを見ていると、どうして東京はこれほど雑然としているかと暗澹な気分になる。
今回読んだのは手許にあった1978年改版の岩波文庫だった。美しい日本語なのだが正直難しい。読めない漢字があったり、一読して意味がとれない箇所がいくつかあった。これは、ゆとり世代にはムリなのではと思ったら、2003年に改版されていた。書店で手に取ってみると、版組みがゆったりして、フリガナも増えていた(振りすぎかも…)。解説が追加されたこともあるが、ページ数が98Pから145Pと増えていた。岩波文庫も進化しているようだ。