退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『キングコング対ゴジラ 4Kデジタルリマスター版』(1962) / ゴジラシリーズ第3作

新文芸坐の《「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」公開まで待ちきれない! これがゴジラだ!怪獣だ! 新文芸坐ゴジラまつり》という企画で、映画『キングコング対ゴジラ 4Kデジタルリマスター版』(1962年、監督:本多猪四郎)を鑑賞。

ゴジラシリーズ第3作。「怪獣同士のプロレス」という日本の怪獣映画の様式を生み出した記念すべき作品。ゴジラの相手は、なんとアメリカの怪獣キャラクターの元祖ともいうべき「キングコング」という驚愕の企画だ。アメリRKO社に多額のライセンス料を払って制作された。これが大ヒットし、ゴジラシリーズ中最高の観客動員数を記録した。


【公式】「キングコング対ゴジラ」予告 アメリカの人気怪獣キングコングを相手に迎えたゴジラシリーズの第3作目。

何度か見た映画だが「4Kデジタルリマスター」に惹かれて見に行った。DCP上映。ゴジラシリーズ初のカラー作品ということもあり、鮮やか映像は素晴らしい。数年前に「ゴジラ」第一作がデジタル化されて上映されたことがあったが、そのときは白黒映画だったせいもあって、たいして感銘を受けなかったが、本作品はデジタルリマスタリングした効果がはっきりとわかる。

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キングコングがコジラと戦うという都合上、キングコングが大きすぎて国会議事堂に登ってもなんともバランスが悪いのは愛嬌か。美女がコジラの手に捕らわれて絶叫するというキングコングに欠かせない場面は本作でも再現されている。捕らわれたのは、後にボンド・ガールに抜擢される浜美枝。彼女のスクリーミングも見どころのひとつ。

終盤、熱海城をはさんで対峙して戦うゴジラキングコングの激戦を展開する場面は特撮映画史上に残る傑作シーン。パッケージソフトのジャケットデザインにもなっている、キングコングゴジラの尾を持って振り回すのも面白い。

二大怪獣を共倒れにするという自衛隊の作戦が成功して、両者は海へ落下してゴジラはそのまま姿を消し、キングコングは南の島に帰っていく。どちらも死なすわけにはいかないのだろうが、うやむやな結末だが、まあ仕方ない。

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この映画は特撮映画ではあるが、当時の高度成長期の日本の世相を捉えているのも美点のひとつ。製薬会社がスポンサーになっているテレビ番組の視聴率アップのため、高島忠夫藤木悠のコンビが南の島に取材のため派遣される。その島で目覚めたという「巨大なる魔神」(キングコング)に遭遇するという設定だ。日本が物資困窮の時代から抜け出して、消費者が商品を選ぶ消費社会の到来である。

いまと比べれば映画のなかの東京はまだ貧しい。それでも上り坂にある日本の勢いが感じられる。「失われた20年」などと言われていて、すっかり落ちぶれてしまった日本で生きる身にとっては、どことなく眩しい映画でもある。

ちなみに併映は『怪獣総進撃』だった。企画当初は『怪獣忠臣蔵』という仮題がついていたという珍作。