高瀬志帆によるコミック「二月の勝者-絶対合格の教室-」(全21巻)が完結していました。遅ればせながら、ようやく最終巻を読了。2018年から『週刊ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で連載されていた作品なので、連載期間は足掛け6年ということになります。長い。
本作は首都圏で加熱する一方の中学受験を扱ったコミックで、実在する塾や模擬試験、中学校などが名前を変えて(なぜか一部は実名)多数登場するなどリアリティへを追求しているのは、作者のこだわりか。
生徒ごとの事情を細かく描くことで群像劇として見事に描けていること、また首都圏での中学受験の知識を読者にさりげなく伝えるあたりはよくできている。
中学受験を扱っているので当然「終わり」があるわけで、繰り上げ合格などのサプライズはあるものの、最終巻では合否の結果を受けての後日談が主に描かれている。
無難に終わってホッとしたというのが第一感。巷には「終わるのは当たり前だろ」という声もあるだろうが、きちんと終わらない漫画が多いことは周知のとおり。私が思う「再開が待たれる大好きな漫画たち」は以下のとおり。
作品から離れるが、中学受験に莫大なエネルギーが消費されている日本の現実は、全体として見ると効率がひどく悪いように思った。まあ個々の生徒や家庭にとっては、現状の日本社会で成功するための選択肢としては「アリ」なのだろうが、この中学受験の是非を考えさせられた作品でもあった。
余談だが、本作は2021年にテレビドラマ化されている。原作漫画が完結してないのにエンディングをつくるのは思い切ったことをしたなと当時思ったものだ。ビジュアルでは、主演の柳楽優弥のなりきりが印象的だった。生徒役の子役の演技の秀逸だった記憶がある。TVerなどでもう一度見てみたい作品である。