先日、中銀カプセルタワービルを見てきた。
中銀カプセルタワービルは、黒川紀章(1934-2007)が設計し、世界で初めて実用化されたカプセル型の集合住宅である。のちに六本木プリンスホテルや国立新美術館をはじめ数々の業績を残して巨匠と呼ばれる黒川の初期の代表作。1972年竣工。
部屋がカプセルになっていて、カプセルの交換が可能な設計になっているのが特徴。その機能性が外観にストレートに表現されている。しかしカプセルの交換は一度も諸事情により実施されていない。机上の空論とは言わないが、ちょっと惜しい。
このカプセルは、当時の新しい都市生活を提案するものだったのだろうが、時代は巡って現代にミニマリズムにも訴求する。もっともカプセルには、キッチンも洗濯機を置くスペースもなく、外食やコンシェルジュを前提にしていて、生活コストはそれなりにかかりそうである。
今回、築地市場駅から現場に抜けて新橋駅に抜けることにした。現場に着くと、すでに何人もの人は写真を撮っていた。あまりにも有名な建築物だから当然と言えば当然か。
実際に住んでみると水回りなどトラブルが多かったようだが、一度はこうところに住んでみたかった。
余談だが映画ファンとしては、設計者の黒川紀章は著名な建築家という前に、大映映画の看板女優だった若尾文子の夫だったことのほうが重要かもしれない。