DVDで映画『日本一のホラ吹き男』(1964年、監督:古澤憲吾)を鑑賞。いわゆる東宝クレージー映画に分類されるコメディ。植木等主演の「日本一の男」シリーズ第2作。
西北大学の学生・初等(はじめ・ひとし)は三段跳の選手で1964年東京オリンピックの候補だったが、練習中にアキレス腱を切るという大怪我を負い出場を断念する。実家での量量中に先祖の自伝を発見し、「大ボラ吹けど成功し…」の一節に感化されて、大手電機メーカーへの就職を目指すが……。
当時のサラリーマン・コメディの強引さとC調に乾杯! ここまで痛快だと文句言う気もなくなる。いま見るとツッコミどころ満載だが、当時の観客は何を思って見ていたのだろうか。日本が上り坂だったからこを許された表現か。
このストーリーを成立させてしまう植木等のキャラクターも大したものだが、やはり一人だとちょっと物足りない。クレージーキャッツとして出演していた映画のほうに佳作が多いように思う。古澤憲吾の作風なのか、他の東宝クレージー映画と同様に劇中に唐突に音楽が挿入されるが、歌って踊る植木等が下手くそすぎる。クレージーキャッツの音楽センスがほしい。
あと主人公が働きすぎて労働組合から除名されて管理職に昇進するというのは、反共で知られていた吉澤監督らしいストーリーだなとニヤリとさせられる。
余談だが早稲田の本キャンで植木等が歌い踊るシーンは貴重な映像。まあ主人公のC調ぶりはとても早稲田らしいということだろうか。当時から早稲田のイメージはこんな感じだったのかな。やれやれ。