DVDで映画『さよならくちびる』(2019年、監督・脚本:塩田明彦)を鑑賞。主演は小松菜奈と門脇麦。DVDのジャケットに、楽曲を提供した秦基博とあいみょんの名前が大きくクレジットされていた。音楽映画なので楽曲がつまらないと成立しないのだろうが売り方はこれでいいのかしらん。
インディーズで注目を浴びた女性ギター・デュオ「ハルレオ」は解散を決めた。ハル(門脇麦)とレオ(小松菜奈)は、ローディ兼マネージャーのシマ(成田凌)とともに、さよならツアーに出発する。ツアーの道中を三人の想いが交錯するさまを回想を交えながら描かれる……。
私がロードムービーが好物ということを差し引いても、丁寧につくられた音楽ロードムービーであり、映画的悦楽が感じられた。最低限のセリフを紡いでいくミニマムな演出も奏功している。ジープ・ラングラーに乗り込んで旅立つあたりから、いい映画の予感がした。ラストで出発地点に戻ってくる流れも上手い。
実際、本作のような男1人女2人の旅は、男は実にやりにくそうだ。何か起こりそうで起こらない微妙なバランスがいい。解散に向かって淡々と時間が流れていき、ステージを消化しながら最後のライブに立つシーケンスもよい。ラストも無難とも言えるが後味は悪くない。
結局、こうした音楽映画は楽曲頼みになるが、秦基博とあいみょんの提供曲に魅力があり悪くない。小松菜奈と門脇麦による歌唱シーンが何度も出てくるが、ふたりが結構歌えていたのに驚いた。小松菜奈のファンも納得であろう