半月ほど前、米ウォルマート(Walmart)は、西友への出資比率を引き下げると発表した。自宅からいちばん近くのスーパーが西友で利用するので気になっていたニュースだった。
鳴り物入りで西友を買収して意気盛んだったウォルマートだったが、結局大半の持ち株を格安で売却し、持ち株比率を15%まで下げるという。実質日本から撤退することになった。今後は楽天と米投資ファンドのKKR共同と協業して経営にあたることになる。
流通産業はドメスティックであり、地域密着でないとビジネスがうまくいかないといとよく言われるが、まさに教科書どおりの結末である。仏カルフールや英ブーツ、英テスコと同じ轍を踏むことになった。西友もローカライズが成功したとは思えないだろう。
近所の実店舗を見ると地下の食品売り場はともかく、上階の衣料品や日常品の売り場はかなり寒い。あえてここで買おうと思わない。苦戦しているのは明らかだ。フロアごと大手専門店を貸し出すことで、かろうじて集客できているように思える。
今後の経営戦略は不明だが、いまのところ店舗には目立った変化はみられない。西友は楽天とも「楽天西友ネットスーパー」を立ち上げており、ネットスーパーへより注力していくのだろうか。いずれにせよKKRは西友株を売却することは容易に想像できるが、出口戦略をどう考えているのだろうか。デフレの続く日本に商機はあるのだろうか。
西友はもともと堤清ニ氏が率いた「セゾングループ」の中核であった。その記憶も既に薄らいできている。誰がやっても経済が停滞する日本でスーパーの経営は難しいのだろうが、近所の西友がなくなると困るのでもうしばらくは頑張ってほしい。