今月号の「歌劇」(2020年5月号)の表紙は雪組トップ娘役の真彩希帆(まあやきほ)さんが表紙でした。実物を手に取ったところ雑誌があまりに薄くてびっくりしました。劇団は大丈夫かしらん。
さて男役がメインとされる宝塚歌劇団において娘役の立場は正直微妙です。ですのでヅカ雑誌の表紙を娘役が飾ることは極めて稀なことです。そうしたなか私が観測を始めて以来、花總まり、夢咲ねね、蘭乃はな、愛希れいかに続き5人目となります。ちなみに複数回登場した娘役さんもいます。
観測を始めたのは、花總まりさんの退団時期の2006年です。つまりタカハナ時代からほぼ14年が経過しています。その間で月刊誌『歌劇』の表紙を飾った娘役は、わずか5人です。表紙に登場するのは劇団に評価されている証左でしょう。たいへん名誉です。
トップ娘役として大成する条件は、まずはトップスターとの相性でしょう。こればかりはめぐり合わせです。ある意味「運ゲー」と言ってもいいかもしれません。
とは言っても、芸事などにおいても最低限の水準はクリアしないと観客を満足されることは難しい。思いつくままに要件を挙げると、容姿、歌、芝居、ダンス、カリスマ性などです。
真彩希帆さんはバランスのよい娘役ですが、やはり歌ウマとしての評価が高く、卓越した歌唱力を持つ娘役として知らえています。近年はビジュアル重視の量産型が重用され、歌ウマの娘役は「別格」と言われて、演目で重要な役割を担うものの、トップ娘役にはなれないという事例も多くあったように思います。
個人的には、歌ウマの娘役を応援していますが、残念な結果になることも多いのです。しかし、真彩さんはこれまた歌唱力に定評のある望海風斗の相手役に抜擢されて花が咲きました。まさにめぐり合わせというべきでしょう。
その雪組のトップコンビは、今年10月に添い遂げ退団することが発表されていましたが、COVID-19の感染拡大による公演休止に伴い、劇団の公演スケジュールが見直されて退団日が延期されることになりました。無事に退団の日を迎えられるように祈るばかりです。
最後にこれまで娘役が表紙を飾った「歌劇」を一部ですが紹介しておきます。
▼花總まり(2006年5月号)