退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

「大阪府が休業要請に応じないパチンコ店名を公開」に思う

大阪府は24日、新型インフルエンザ対策特別措置法に基づき、休業要請に応じないパチンコ店6店の店舗名を公表した。同法に基づく施設名公表は全国初。


パチンコ6店の名称公表 大阪府、強い休業要請


www.pref.osaka.lg.jp

名前晒して止めさせるとか〈私刑〉じゃね?

休業に応じない施設に対して、新型インフルエンザ対策特別措置法に基づき施設名を公表するのは知事の権限である。しかし、これは社会的あるいは政治的にどうなのだろう。

強制力のない休業要請に応じないからと言って店名を公開してどうするつもりなのか? 世間を煽って、その圧力で休業に追い込もうとする腹なのか。そうならば、〈私刑〉と変わらない。こうした政治手法でいいのか大いに疑問だし、危うさを感じる。

本当に感染拡大防止に必要ならば、議会で議論して法律や条例を整備して対処するべきだろう。そうした動きはまったく見られない。憲法改正が必要ならば国政で堂々と議論すればよい。そうして手続きを踏まずに、たとえ合法だといはいえ、行政が特定の業界に圧力を加えるのどうなのだろう。

今後、店名を公開されてもなお営業を続けるパチンコ店に対して、吉村洋文大阪府知事がどのような態度に出るのか注目したい。

店名公開して効果あるの?

そもそも店名を公開して効果があるのか疑問である。社会的評判を気にする業界なら効果が期待できるかもしれないが、ここまで要請を拒んでいるパチンコ店に対して効き目があるとも思えない。むしろ「無料で宣伝してもらったおおきに!」ぐらいに思っているのではないか。

実際、店名を公表された店舗はいつも以上に繁盛しているらしい。大阪クオリティというべきか。

パチンカスをなんとかするのが先では?

パチンコが不要不急なのは間違いない。ににかかわらずパチンコ店を利用する人たちがいるから営業が成り立つという側面もある。こうなると海外のように外出制限できない日本の法体系に問題あるようにも思える。

パチンコ中毒の人を「パチンカス」というらしいが、お上が外出自粛を呼びかけても言う子をきくような人たちではない。わらわらと集まってくる人たちがパチンコ依存症だとすれば、まず医療的な処置が必要だろう。

これの有様をみると、大阪府が推進している「カジノ構想」も見直しが必要に思えてくる。

コロナ禍が社会の矛盾を可視化する

今回大阪のパチンコ騒動をみて、「パチンコは賭博だからこの際につぶせ」という議論もある。私自身もパチンコは社会に要らないと思うし、韓国ではすでに全廃したという。

まあ誰が考えても、いまのパチンコが賭博じゃない、と言い張るのは苦しい、社会の矛盾と言っても良い。それでもパチンコは一応合法となっている。パチンコ産業で生計を立てている人も多いことだろう。

パチンコに限らず、コロナ禍でさまざまな「社会の矛盾」が可視化されている。コロナ終息後、私たちがこれらを覚えていて改善できるかは心もとないが、災い転じて福となすとできるかで日本の将来が決まるだろう。

パチンコ滅亡論