退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【読書感想】牧田幸裕『教わる力 すべての優秀な人に共通する唯一のスキル』(2018年、ディスカヴァー・トゥエンティワン)

「教える力」(コーチングスキル)の重要性は知られているが、「教わる力」が注目されることはこれまであまりなかった。この本では、「教わる力」を鍛えて、成果や結果を出すためには何が必要かを説く。ユニークな視点で示唆が多い。

「学びの場」が増えていくるということは、成長の機会が増えることでもあるが、「情報オーバーロード」がさらに起きていくことから「教わる力」の重要性は高まってきているいうのは説得力がある。

まず「教わる力」とはナビゲーションを以下のように設定できることだという。

  • 現在地の確認
  • 目的地の設定
  • ルート候補の設定
  • ルート候補の選択
  • ルートの決定

また教わる際の発展段階を、「知っている」「理解している」「使いこなせる 得点できる、稼げる」の3つのステップがあるというのも納得できた。

とくに、なるほどと思ったのは、以下のフレーズである。ぼんやりと待っていてもダメらしい。

自分の「信じる道」は、ベストフィットで目の前に現れるものではない。「信じる道を貫き通し」ながら、自分にベストフィットになるようにカスタマイズしていくものなのである

まず、たくさんの他人の判断軸に触れ、比較し、「信じる道」を探し出す。次に「信じる道」を完全にコピーする。最後に自分独自のオリジナルの判断軸をつくりあげる。この段階を踏んで初めて「信じる道を貫き通す」ことができる。なるほど。

さらに「上手になりたければ、練習量を増やしましょう」というように、根性論ではないが、まずはやってみようという現実的な提案をしていて、「詰め込み教育」を肯定しているもの特徴的だ。

ただし、ビジネス書なのだから仕方ないのかもしれないが、登場する例が受験やゴルフばかりであまり面白くない。囲碁や楽器演奏や武道などいろいろな分野の例があると、さらに楽しく読めるのではないか。

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