新文芸坐で映画『アトミック・ブロンド』(2017年、監督:デヴィッド・リーチ)を鑑賞。冷戦末期のベルリンを舞台にしたスパイアクション映画。主演はシャーリーズ・セロン。
この映画は『裏切りのサーカス』のように、冷戦期のスパイ映画にありがちな誰が味方で敵かわからない複雑で分かりにくいストーリーになっている。ただ、せっかっくの凝ったストーリーラインもアイディアに溢れたアクションシーンの前にはどうでもよくなってしまうのは難点かもしれない。それほどアクションシーンが突出している。
アクションシーンは、これまでの女スパイが演じたスタイリッシュなものとは異なり徹底的にハード路線全開。屈強な男たちをシャーリーズ・セロンがハードアクションで次々に倒していく。体重を乗せた打撃技にズシンズシンという低音の効果音が付けられていて迫力満点。ぜひ映画館で堪能してほしい。
映画のポスターに「女007が誕生した」とあったが、たしかに肉体派のダニエル・クレイグ版007に通じるものがあるかもしれない。
なるほどシャーリーズ・セロンのアクションは秀逸なのだが、個人的にはヒロインが血まみれになったり痣だらけになったりするのはちょっと苦手かもしれない。満身創痍の裸体も披露しているが痛々しくて見ていられない。女性がフルボッコになるのを見ても平気な人向けだろう。
Atomic Blonde - Official Trailer #2 [HD]
また、この映画には80年代のヒット曲がふんだんに使われていて、その時代を表現するのに成功している。劇中で1989年11月に起きた「ベルリンの壁崩壊」が報じられていたが、当時を知るおっさん世代には、音楽を含めたこの時代の雰囲気も楽しめると思う。