遅まきながら近くのシネコンで映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017年、監督:ライアン・ジョンソン)を観てきた。レイを主人公とする続三部作の第2章「エピソード8」である。
事前に前作の「フォースの覚醒」を自宅で見直して準備万端でスクリーンに臨むが、上映後、「え、本当にこれでいいのか?」というのがファースト・インプレッション。上映時間もとても長く感じた。
まず、前作でついにルーク(マーク・ハミル)に出会ったレイ(デイジー・リドリー)に触れたい。この流れでは当然、レイはルークを師匠に修行を積んで成長していくと思うはず。しかしレイからライトセーバーを受け取ったルークは、それをポイっと投げ捨てる。「ええええ」と観客は呆気にとられる。レイとルークの関係に納得できないし、修行を経ずに最初から強いレイっていったい何なの?
次におかしいのは反乱軍(レジスタンス?)のグダグダぶり。ファーストオーダーに追い詰められた撤退戦なので選択肢は少ないのは分かるが、それにしても反乱軍の指揮系統や組織はどうなっているのか疑問に思うシーンが続く。グダグダしているうちに、どんどん劣勢になっていく反乱軍。壊滅寸前にルークの〈謎の力〉によってかろうじて命脈を保つのだが、一度リセットした方がいいだろう。企業ならとっくに倒産しているレベル。
最後はフォース。ネタバレになるので詳しく書かないが、フォースのインフレというか、もう「何でもあり」になっていた。これほどフォースが万能ならば、ジェダイは安泰だったはず。これまでのエピソードを全否定するようなフォースの解釈は納得できなかった。
これまでの枠組みを脱した新機軸のスター・ウォーズだと好意的に受け入れられる人もいるだろうが、私はどうも納得できない。また引き換えに映画としての完成度が上がっているのかと言われるとそうでもない。長尺のわりには話が行ったり来たりして整理されていない。反乱軍がグダグダだったのと同じぐらい、映画もグダグダだったように思う。
Star Wars: The Last Jedi Trailer (Official)
酷評ばかりでは仕方ないので、いいところも挙げておこう。まず、レイとレン(アダム・ドライバー)のふたりが共闘して、スノーク配下の赤備え(日本の鎧の影響?)の戦士たちと戦うシーンはよかった。もう少しスタイリッシュに撮れるのではと思わなくもないが、後に袂を分かつふたりが束の間でも力を合わせて戦う場面はストーリー上も重要だろう。
またR2-D2やヨーダなど往年のキャラクターを登場させたり、おなじみのスター・ウォーズの音楽を多用するなど、ファンサービスは旺盛。これは単純にうれしい。まあ新機軸を打ち出しているのに、昔からのファンにサービスするのは、監督にとっては一種の妥協だったのかもしれないが……。
本作は続三部作の第2作だったが、あと1本でどのように着地するのだろう。ちゃんと終われるのだろうか。そんなことを思いながら映画館を後にした。